まず、あれ？なんかシャワーチェアの向きがおかしくない？と思います。
このままだと、シャワーを後ろから浴び、浴槽に浸かったときも背中に蛇口が来てしまいます。

でも、何にでも理由があります。

この方は、重度の左半身麻痺と、左半側空間・身体失認（左の空間、身体の認識が苦手になります。）

ただでさえ左側の空間や距離感、身体の感覚が意識しづらいのに、
よりによって力の入らない左半身（お尻）を載せないといけないのです。
しかも、お湯の入った浴槽の縁にかけられているのは、得体の知れない板（バスボード）です。
失敗すれば、沈んで溺れます。

以上の理由から、この方は左側に移ることにとても不安を感じていました。

一度試してみたのですが、
写真の反対の位置にシャワーチェアを置き、そこからバスボードに移るとき、
不安から全身に力が入ってしまい、意に反して左足がカチカチに緊張してしまい、
まずバスボードに座ることにもとても苦労しました。
しかもバスボードに座ったまま、そのカチカチの脚を上げて浴槽をまたぐとき、身体が後ろに倒れてしまうので、
ご本人もとても不安だったと思います。

でも、今回は写真のようにシャワーチェアを置き、右足から浴槽の縁をまたいだ結果、さっきの半分ほどの力で超えることが出来ました。